2日目

  • On 2018-02-02 ·

レジデンスって、どういうところかというと、

こういうところです。すごく気に入った。
フロントにはトーキョーとリトルトーキョーの時差をいつでも確認できる時計があって、なかなか便利。

今日は朝10時にリトル東京サービスセンター(LTSC)のオフィスに行って、エグゼクティブ・ディレクターのディーン・マツバヤシさんに会う。真っ先に、テーブルに置いてあったドーナツをくれるというので、ココナッツのを選んで、部屋に迎え入れてもらう。ディーンさんはいろいろな資料を出しながら、とても気さくに、LTSCの理念と目的、ここで何を大切にし、どんな活動をしてきたのかを教えてくれた。ひとしきり話した後「さあ、何を手伝えばいい?」と言ってくれた彼に、私はいくつも聞きたいことがあったので、さらにたくさんの質問をした。

昨日グラントとの話にものぼった、リトルトーキョーという町が人々にとってどうして価値を持っているのか、という話。実際にはロサンゼルスの中でも、多くの日系人はもっと広範域に暮らしているという。その外側には南カリフォルニア全域に、また広く日系コミュニティは点在している。いま私の滞在しているダウンタウンのリトルトーキョーというエリアは小さくて、むしろほかのチャイナタウン、コリアタウン、タイタウン、ヒストリック・フィリピーノタウンのほうがディーンの地図上では面積が大きく見える。それから中南米やアフリカ系の多くのコミュニティが相互にかかわりあっていると聞くが、明らかにリトルトーキョーは小さく見える。

でも重要なのは、この町こそ日系パイオニアの人々がロサンゼルスで最初に開いた場所で、その後様々な理由で外に流れていった人たちにとっても精神的な拠り所となっているということだ。だからこそ、その歴史的・文化的価値とコミュニティの健全な生活を守るために、困っている人々に社会的サービスを提供する拠点がここにある。ディーンが私にもわかりやすいように挙げてくれた活動の例としては、貧困や家庭内暴力へのケア、要介護者とその家族のサポート、小さなビジネスへの支援などがあった。特にLTSCは英語が不自由な日本語話者に対応したソーシャル・サービスを備えている。さらに、この辺りの多くの高齢者住宅の建設も重要な活動だそうで、これまでに建てられた立派な外観のアパートメントのカタログを見せてもらった。そして、まさに今月にも新しく建設が始まるのは、武道館。2つのバスケットコートを兼ねた大きな武道場と、コンサートを行える野外ステージをはじめとし、とても充実した新しい施設の図面をみながらディーンは嬉しそうに話してくれた。

そこで、コミュニティの専門家に一番聞きたかったことを聞いてみた。「じゃあ、アートは? 色々なアーティストがこの町にいることの効果をどう考えていますか?」そうしたら彼は、もちろん彼の立場と視点から、「いろいろなアクティビティでみんなが元気になること、そして、共感」と答えた。もうちょっと聞いてみたくなって、私は、「あなたが何を手伝えるか問いかけてくれたように、私もここで何ができるのか、自分のミッションを考えようとしている、だから聞いてみた。」と伝えると、急に私の応募書類の話になって、短い企画書に書いた<高齢者の言葉を集めるプラン>のことを彼が気に入ってくれていたのだとわかった。それはパワフルだったと言って彼は続けた。「今、この国は本当に危ない。まるで戦争をも厭わないような動きを支持する人たちがいるけれども、それは戦争が本当に何かということに共感がないからだ。」

ディーンのおかげで、霧の中でなにか少し掴めそうな感覚があった。そしてはっきりと、すごく良きコラボレーターに恵まれたことがわかった。2日目にお会いできてよかった!まだわからないことはたくさんあるけれど、それは追々、知るようになるのかもしれない。
私から彼への報告は、ブログを書き始めたこと、英訳は書くべきことが多すぎて多分滞在中に間に合わないけど帰ったら必ずしますということ、これから具体的にやろうと思っているいくつかのこと。(これらには喜んでくれた。)それから最後に、まだどうなるかわからないけど展示ができる小さなスペースはあるか。答えはイエス。

たった1時間半のあいだの濃密なミーティングのあと、もうひとつ楽しいランチミーティングがあった。LTSCのパートナーである日米文化会館(JACCC)のレスリーとスコット。彼らにオススメのアートシーンをたくさん教えてもらった!どこから行こうか迷うくらいだ。

明日は土曜日。週末はブログはお休みにして、何か面白いものを探しに町を歩いてきます。