イスラエル入国。
パスポートにスタンプはない。
テルアビブの空港から広すぎる道路をスイスイ車で走っていく。
看板とトンネルの先に突如現れたアラブ人の街ラマッラーに着いた。
飛行機で20時間の旅だったけど、今パレスチナにいることが全然信じられない。白い土、建物の白い壁、でも街はなぜだかなじみ深い。初めて来た気がしないほど居心地がよかった。
アルカサバ・シアターの芸術監督ジョージ・イブラヒムが1時間後にホテルに迎えに来てくれた。温かいハグで挨拶をして、歩いてすぐの劇場へ向かった。
ミーティングは夜22時まで続いた。
Rashomonの話、パレスチナの話、お互いが考えてきたこと、新しくひらめいたアイデア…。話すことは全然尽きない。
驚いたことは、想像以上に戯曲をベースに話ができること。
多㐮丸、女、男、検非違使や旅法師といった個々の具体的なキャラクターを通してお互いの今を見つめることができる。これは、これからのクリエイションの前提としてすばらしく幸運なことだと思う。
テーブルいっぱいのパレスチナ料理とアラック（アラブのお酒）を楽しみながらミーティングの最後にジョージが言った。
ーWe do our best.
本当に。同じ気持ちだ。
