エルサレムは掘れば掘るほど古い史跡が出てくるので、多額のお金を費やして発掘調査が続けられているという。確かにそこは、深い谷になっていた。何世紀頃かもわからない、誰かが暮らした建物の痕跡が残っていた。
キリスト教のエリアにはたくさんの教会がある。スイス系、アルメニア系、アフリカ系、ロシア正教、もっともっと…。皆それぞれの教会で祈る。
一神教では神は一つというけれど、私はこんな区分の多さに圧倒された。ここにはあまりにもたくさんの信仰があり、唯一の神に祈ることが、ほかの何かに矛盾する。そんなふうにさえ感じてしまう。
地球史上、どれほどの人々が聖地エルサレムを求めてきただろう。でも私が祈るべき場所はどこにも見あたらない。日本なら、神社でも、仏壇でも、お地蔵さんでも、どこでも手を合わせることができるのに。そんなふうに漂浪しながら、神様のことを考えた。
これはすごく個人的な宗教観の話。今まで宗派って、あまり気にしたことがなかったんだな。
それからまた観光スポット、聖墳墓教会へ。キリストの墓がある教会。
聖地の前は各国からのツアー客が入場待ちの列をなしていた。
ちょうど特別な儀式が行われていたのでキリストの墓は見られなかった。
でも、ムアーズがその奥にある別の穴に連れて行ってくれた。LEDライトで照らしながら穴に入ってみると、中が2つに分かれていて壁にシミがある。彼は「こっちが本当のキリストの墓だと思うんだけど」と言った。
地元の人にはそういう伝説もあるらしい。
ムアーズは本当にいろんな話をしてくれた。
―too many stories. と言いながら。
マジでtoo many だった。
今日のツアーの最終地点、エルサレムを一望できる、オリーブ山の上に到着。
わぉー!美しい。
写真の腕がないので伝わらないのがもったいないほど素晴らしい眺めだった。
今日はジョージが「アンチ・バレンタイン・パーティー」に招待してくれたのに、疲れ果てた私たち一行は泣く泣く断念。