まちなかパフォーマンス『テラ』

2018年11⽉14⽇(水)− 17⽇(土)
西巣鴨 西方寺

寺を舞台に響き合う、土地と暮らしの記憶、世界の歴史と現在

 F/T14『羅生門|藪の中』では、パレスチナのアーティストとも協働した演出家・坂田ゆかり。岡崎藝術座、チェルフィッチュ、サンプルなどの作品に出演する俳優・稲継美保。演奏活動の傍ら音色研究も行うドラマー、パーカッショニスト・田中教順。共に80年代生まれのアーティストが集い、現代の諸問題への関心を、日本の話芸や打楽を用いて共有し、深め、拡げる場を創造します。公演会場は寺。三好十郎の詩劇『水仙と木魚』をベースにさまざまな文学作品の断片、寺を取り巻く地域の記憶、仏教法話を織り込んだテキストと、声、身体、音が共振する特別な時間が生まれます。

>> 公式作品ページ
>> [記事] 『テラ』座談会

作・演出: 坂田ゆかり
出演: 稲継美保
音楽: 田中教順
原案: 三好十郎「詩劇『水仙と木魚』ーー一少女の歌えるーー」ほか

ドラマトゥルク: 渡辺真帆
衣裳: 藤谷香子(FAIFAI)
音響: 福岡功訓 、堀籠勇矢(Flysound)
舞台監督: 佐藤 恵
舞台監督助手: 石橋侑紀
英語翻訳: ジョン・タウンゼント
記録写真: 松本和幸
記録映像: 藤川琢史、宮澤 響(Allosidae)
宣伝写真: 加藤 甫
宣伝美術(メインビジュアル): 11piki
宣伝美術: 植田 正
制作: 松宮俊文、荒川真由子(フェスティバル/トーキョー)
インターン: 堂前晶子、戸倉紀乃、村上理衣奈

企画・主催: フェスティバル/トーキョー
協力: 遠藤卓也(未来の仏教ラボ)
特別協力: 西巣鴨 西方寺

引用:
吉岡実「僧侶」
1958『僧侶:吉岡実詩集』ユリイカ

富岡多恵子「前書」「お前じゃなくて 奴だ」
1970『厭芸術反古草紙』思潮社

演出家の坂田ゆかり、俳優の稲継美保、ドラマー・パーカッショニストの田中教順の1980 年代の生まれの3 人による、「寺」や「仏教」をテーマにした演劇作品。三好十郎の詩劇『水仙と木魚』をベースに、吉岡実、富岡多恵子による文学作品、寺を取り巻く地域の記憶、住職へのインタビューや仏教法話、浄土三部経の無量寿経を織り込み、戯曲が創作された。稲継は和服やドレス、ヘヴィメタルなどのコスチュームで、10 代の少女から老女までを演じわけ、詩の朗読や田中とのデュエットなど、多様な表現に取り組んだ。田中は、寺の長男である自身の生い立ちを語ったり、煩悩の数である108 の問いを観客へ訊ねたり、作品と観客の架け橋となった。問答の場面では、観客は木魚を叩くという形式で回答し、自分自身の宗教観のみならず、過去、未来、そして現在に対する問いに真剣に向かい合っていた。踏み込みづらい宗教や死生観にまつわる話題を、身近でありながら日常生活では立ち入ることの少ない寺を会場に、観客とともに見つめなおす機会となった。